退職後の国民年金の手続き〜保険料・免除制度〜

今回は、「退職後の国民年金の手続き〜保険料・免除制度〜」について解説いたします。

この記事は7分で読めます。

退職後の年金の手続きが知りたい
保険料の支払いが厳しい…何か良い方法はないかな

この記事では、退職後の国民年金の手続きについて紹介いたします。

記事を読むメリット

退職後の国民年金の手続きがわかる

結論、20歳以上60歳未満の方は、国民年金への加入義務があります。
国民年金の保険料は、1か月あたり16,520円です(令和5年度)。
保険料の支払いが難しい場合は、免除制度が利用できるか確認しましょう。

記事の内容

国民年金の手続き
国民年金の保険料
国民年金の免除制度

国民年金の手続き

日本は、「国民皆保険制度」を採用しているため、20歳以上60歳未満の全国民は、国民年金への加入が義務付けられております。

被保険者は加入者の職業などによって、以下の3種類に区分されます。

第1号被保険者第2号被保険者第3号被保険者
対象個人事業主、自営業者、学生、無職など会社員、公務員など第2号被保険者の扶養配偶者(主婦、主夫など)
制度国民年金国民年金+厚生年金国民年金

国民年金は全員が加入しておりますが、会社を退職すると被保険者の区分が変わるため、切り替えの手続きが必要になるのです。

国民年金の手続き

期間退職日の翌日から14日以内
場所住んでいる市町村役場の国民年金の担当窓口
持ち物年金手帳
退職日が確認できる書類(健康保険資格喪失証明書、離職票など)
本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など)
印鑑

手続きをしないと、将来受け取る年金が減額する可能性があります。
そうならないためにも、退職後はすみやかに切り替えの手続きをいたしましょう。

国民年金の保険料

国民年金の保険料は、1か月あたり16,520円です(令和5年度)。

参照:日本年金機構「国民年金保険料」

また、定額の保険料に上乗せして月額400円の付加保険料を納付することで、将来の年金額を増やせる「付加年金」という制度もあります。

付加年金額(年額)は、「200円×付加保険料を納めた月数」で計算されます。
つまり、上乗せした保険料の半額が将来の年金に加算されます。

参照:日本年金機構「付加保険料の納付」

例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めた場合は、以下のようになります。

20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めた場合の保険料と受給増額

・付加保険料
400円×480か月(12か月×40年)=192,000円
・受給増額
200円×480か月(12か月×40年)=96,000円

上乗せした保険料を見ると、192,000円と一見高額ですが、付加年金額(年額)の96,000円は永続的に受給できるので、実質2年で元が取れます。

「会社員に戻るつもりがない」
「65歳以上長生きするはず」

こういった方は付加年金に加入するメリットが十分にあります。

付加年金の加入条件は、以下の通りです。

付加年金の加入条件

・第1号被保険者
・65歳未満の任意加入被保険者
・国民年金の免除を受けていないこと
・国民年金基金の加入員でないこと

付加年金は、国民年金の切り替え手続きの際に申し込みが可能です。

おそらく窓口で「付加年金に加入しますか?」と聞かれますので、手続き前までに加入するかどうか決めておくとよいでしょう。

国民年金の免除制度

年金の納付が困難な場合は、保険料の免除や納付猶予といった制度があります。

承認されれば、年金の受給資格期間に算入されます。
つまり、保険料を支払わなくても、その期間は払ったものとして受給資格期間に入れることができるのです。

受給資格期間とは、年金を受け取るために保険料を納めた期間や加入者であった期間の合計を指します。
老齢基礎年金の受給資格期間は10年です。

免除される額は、「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類があります。

免除や納付猶予が適用された期間の年金額は、以下の通りです。

保険料免除・納付猶予された期間の年金額

免除の種類適用された期間の年金額
全額免除保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
4分の3免除保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
半額免除保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
4分の1免除保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7
納付猶予受給資格期間にカウントされるが、後から追納しないと年金受給額は増えない

極端な話、40年間全額免除となれば、保険料を支払わずに全額納付した場合の半分の年金額を受け取れます。

免除や納付猶予の承認基準は、以下の通りです。

保険料免除・納付猶予の承認基準(所得の基準)

免除の種類前年の所得の範囲
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は、源泉徴収票、確定申告控などで確認できます。

家族を扶養していた場合や、働く家族の収入が低い場合などは、基準の範囲内になり得るでしょう。

また、失業した場合には、特例で免除が適用される可能性があります。

特例では、通常審査の対象となる本人の所得を除外して審査してもらえるので、失業した(退職した)方は申請を検討いたしましょう。

免除や納付猶予の手続き方法は、以下の通りです。

免除・納付猶予の手続き

期間申請書1枚で7月から翌年6月までの1年間分の申請
(過去期間は2年1か月前、将来期間は翌年6月分まで申請可能)
場所住んでいる市町村役場の国民年金の担当窓口、年金事務所
(郵送や電子申請も可能)
持ち物国民年金保険料 免除・納付猶予申請書
年金手帳のコピー
雇用保険受給資格者証や離職票のコピー
など

免除申請については、以下もご参照ください。

参照:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

免除制度を使うと年金額は減ってしまいますが、申請せず未納のままだと、将来年金を受け取れない可能性があります。
また、免除や納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から追納し、受給額を増やすことも可能です。

失業(退職)して保険料の支払いが難しい場合は、滞納ではなく、まずは制度の利用を考えてみてください。

まとめ

今回は、退職後の国民年金の手続きについて解説いたしました。

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国民年金の保険料
国民年金の免除制度

退職後の国民年金の手続きがわかった!

手続きの参考になれば幸いです。

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