今回は、「退職後の健康保険手続き〜国民健康保険加入・任意継続・扶養〜」について解説いたします。
退職時に会社の健康保険証を返却した
健康保険資格喪失証明書をもらったけど、どうしたらいいかわからない
この記事では、退職後の健康保険の手続きについて紹介いたします。
退職後の健康保険の手続きがわかる
結論、退職後の健康保険には、以下の3つの選択肢があります。
・国民健康保険に入る
・任意継続制度を利用する
・家族の扶養に入る
退職後の健康保険の手続き
(国民健康保険加入・任意継続制度・家族の扶養・再就職先の健康保険加入)
退職後の健康保険の手続きについて
会社を退職すると、これまで会社で加入していた健康保険の資格を喪失します。(退職日の翌日に喪失)
日本では「国民皆保険制度」が導入されているため、何らかの公的な保険へ加入しなければなりません。
資格を喪失したまま手続きをしないと、病気やけがをした際の医療費が全額自己負担になってしまう可能性があります。
そうならないためにも、すみやかに健康保険への加入手続きをいたしましょう。
退職後の健康保険の手続きには、以下の3つの選択肢があります。
・国民健康保険に入る
・任意継続制度を利用する
・家族の扶養に入る
それぞれの内容を順番に見ていきましょう。
国民健康保険に入る
国民健康保険は、各市区町村が運営する健康保険制度のことです。
保険料は、住んでいる自治体によって異なります。
一般的に、自営業者やフリーランス、無職の方などが、この国民健康保険に加入します。
国民健康保険の加入手続き
期間 | 退職日の翌日から14日以内 |
場所 | 住んでいる市町村役場の健康保険の担当窓口 |
持ち物 | 健康保険資格喪失証明書 本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など) 印鑑 |
国民健康保険には、会社員の健康保険のような「扶養」という概念はありません。
もし、家族を扶養している状態で会社を退職した場合は、扶養していた家族も国民健康保険などの公的保険制度への加入が必要になりますので覚えておきましょう。
任意継続制度を利用する
健康保険の任意継続制度とは、退職前に加入していた健康保険に、最大2年間継続して加入できる制度のことです。
一定の条件を満たすことで、これまで加入していた健康保険に引き続き加入できます。
任意継続制度の利用手続き
期間 | 退職日の翌日から20日以内 |
場所 | 全国健康保険協会、または健康保険組合(会社が加入している健康保険による) |
持ち物 | 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書 退職日が確認できる書類(離職票、健康保険資格喪失証明書など) など |
全国健康保険協会の任意継続の加入条件は、以下の通りです。
任意継続制度の利用条件
・資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上あること。
・資格喪失日(退職日の翌日等)から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること。
制度を利用すれば、継続して健康保険へ加入できますが、保険料の算出方法や負担額がこれまでと異なってきます。
おもな違いは、以下の通りです。
退職前 | 退職後 | |
---|---|---|
算出方法 | 標準報酬月額 | 退職前の標準報酬月額か30万円のどちらか安いほう |
負担方法 | 労使折半(会社と折半) | 全額自己負担 |
標準報酬月額とは、保険料の計算のために、月々の報酬を一定の区分(健康保険は50等級)に分けて表したものをいいます。
報酬には、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当などが含まれます。
参照:全国健康保険協会「都道府県毎の保険料額表」
加入する保険の中身は同じですが、保険料の負担は労使折半から全額自己負担に変わるので注意が必要です。
しかし、家族を扶養している場合は、引き続き家族分の保険料の負担はなくなるため、状況によっては国民健康保険へ加入するより保険料が抑えられる場合もあります。
国民健康保険と任意継続制度のメリット・デメリットを簡単に見比べてみましょう。
国民健康保険 | 任意継続制度 | |
---|---|---|
メリット | ・前年の所得などをもとに算出されるため、無職であれば2年目は保険料を抑えられる | ・扶養家族の保険料の負担が引き続きなくなる |
デメリット | ・前年の所得が高額だとその分保険料も高額になる可能性がある ・扶養していた家族も国民健康保険などの公的保険に加入する必要がある | ・労使折半ではなく、全額自己負担になる ・無職であっても2年間は保険料が変わらない |
国民健康保険に加入する場合と比較して、どちらがより保険料の負担を抑えられるか検討して選ぶようにしましょう。
家族の扶養に入る
配偶者や子どもといった家族が会社の健康保険に加入している場合は、家族の扶養に入る方法もあります。
被扶養者となり、家族の健康保険に加入すれば、自身の保険料の負担はなくなります。
家族の扶養手続き
期間 | 退職日後、できるだけ早く |
場所 | 家族の勤務先 |
持ち物 | 被扶養者異動届 続柄が確認できる書類(住民票など) 収入が確認できる書類(退職証明書、雇用保険受給資格者証など) など |
扶養に入るためには、一定の加入条件があります。
全国健康保険協会の扶養の加入条件は、以下の通りです。
扶養の加入条件
・被保険者に生計を維持されている人(三親等以内の親族)
・収入が130万円未満かつ、被保険者の収入の2分の1未満
扶養に入る条件は、健康保険組合などによって異なりますので、早めに家族に加入条件を確認してもらいましょう。
再就職先の健康保険に加入する
そのほか、再就職先の健康保険に加入することでも保険制度を利用できます。
ただし、再就職までに1日でも期間があると国民健康保険の支払い義務が生じますので注意が必要です。
健康保険は日割ではなく、月割で計算されます。
つまり、たとえ1日であっても、加入した月の1か月分の保険料を負担することになるのです。
退職して再就職先が決まっていない場合は、上記3ついずれかの選択肢になりますが、再就職先が決まっている場合は、退職日の翌日から次の会社で勤務できるよう調整しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、退職後の健康保険の手続きについて解説いたしました。
退職後の健康保険の手続き
(国民健康保険加入・任意継続制度・家族の扶養・再就職先の健康保険加入)
退職後の健康保険の手続きがわかった!
手続きの参考になれば幸いです。
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